○大島町環境保護条例
平成17年3月22日
条例第9号
大島町は、国立公園として恵まれた自然環境、観光資源を有し、みどり豊な住環境を維持している。しかるに、現在の大量生産、大量消費社会を反映し、年々増加する大量のゴミが排出され、また、昨今のごみ不法投棄による地域の環境破壊は目に余るものがある。
ここに、次代を担う子どもたちのために、自然と人とが調和した快適でやすらぎのあるまちづくりを目指して、また、地球環境や資源保護に向けて離島だからという安易な理由のもと避けることなく積極的に立ち向かう姿勢を通すために、大島町、町民等及び事業者が一体となって環境の保護に取り組み立ち向かう証としてここにゴミを美しさを守るという意味合いの護美の島宣言をうたい、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、大島町の環境保護、回復及び創造(以下「環境の保護等」という。)について基本理念を定め、大島町、町民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、協働して環境の保護等に取り組むことができるよう町の推進する基本的施策並びに活動について定め、更に総合的かつ計画的な施策及びその推進体制について定めて、環境保護を図るためにごみの投げ捨て、ごみの散乱等の防止、空き地の適正管理その他必要な対策を講じて、緑の自然環境が町民の生活に欠くことが出来ないという、また、それ故に美しいまちづくりに資することを目的とする。
(1) 町民等 町内に居住し、若しくは滞在し、又は観光に訪れる者をいう。
(2) 事業者 町内で事業活動を行う者をいう。
(3) 自動車等所有者 自動車及びオートバイを所有し、又は管理する者をいう。
(4) 土地所有者等 町内の土地を所有し、占有し、又は管理する者をいう。
(5) 空き地の所有者等 町内の空き地を所有し、占有し、又は管理する者をいう。
(6) 飼い主 町民等のうち、飼い犬の所有者(所有者以外の者が飼養管理する場合は、その者を含む。)をいう。
(7) ごみ 空き缶、空きびん、煙草の吸いがらその他の雑芥類、及び粗大ごみ等をいう。
(8) 空き地 宅地化さけた状態の土地又はその他の空閑地で、現に使用していない土地をいう。
(9) 雑草類 雑草、低木及びこれらが枯れた状態にあるものをいう。
(10) 不良状態 雑草類が繁茂し、密集し、又は堆積し、かつ、それらが放置されているため、火災、犯罪、交通事故又は衛生害虫の発生の誘因等生活環境を損なうおそれがある状態をいう。
(11) 公共の場所等 町内の道路、公園、広場、緑地、水路、河川その他公共の場所及び山林(雑種地を含む)をいう。
(12) ふん害 飼い犬のふんにより公共の場所等を汚すことをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保護、回復及び創造は、町民が快適な生活を営む良好な環境を確保しつつ、これを将来の世代に継承していくことを目的として行わなければならない。
2 環境の保護、回復及び創造は、人と自然とが共生し、環境への負荷の少ない循環型社会を基調としたまちを目指して、すべての者が協働することによって行わなければならない。
3 環境づくりの保全は、日常生活活動や通常の事業活動に密接にかかわっていることに鑑み、すべての者の自主的かつ積極的な取組により推進されなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、基本理念に基づき、環境の保護、回復及び創造に関する基本的かつ総合的な計画を策定し、実施する責務を有するものとする。
2 町は、自ら率先して環境への負荷の低減に努めなければならない。
3 町は、環境の保護、回復及び創造に関する施策に、住民及び事業者の意見を反映するよう必要な措置を講じなければならない。
4 町は、環境の保護、回復及び創造に関する情報の収集及び公開に努めなければならない。
(町民等の責務)
第5条 町民等は、基本理念に基づき、その日常生活において、ごみの投げ捨て及び散乱の防止に努めるとともに、環境への負荷の低減並びに公害の防止及び自然環境の適正な保全に努めなければならない。
2 町民は、環境保全等に関する学習及び活動に積極的に参加するとともに、町が実施する環境の保全、回復及び創造に関する施策に協力する責務を有するものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、その事業活動に係わり生ずるごみの投げ捨て及び散乱の防止に努めるとともに、道路沿いの敷地においては、町が指定する樹木の植林等を行い環境の保全に努めるなど、町が実施する施策に協力しなければならない。また、廃棄することによる環境への負荷の低減に資するため必要な情報の提供に努めなければならない。
2 事業者は、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うにあたっては、その事業活動に係わる製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 事業者のうち、自動販売機により、缶又はびん等の容器に入れた飲料又は食品を販売する者は、その販売する場所にそれら容器の回収容器を設ける等により、定められた集積場所に持ち込むなどその散乱防止に努めなければならない。
(自動車等所有者の責務)
第7条 自動車等の所有者は、町区域内に自動車等を放置(投棄)してはならない。
(土地所有者等の責務)
第8条 土地所有者は、良好な生活環境を保持するため、所有し、占有し、又は管理する土地について適正な管理に努めるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
2 空き地の所有者は、所有し、占有し、又は管理する空き地が不良状態とならないよう、常に適正な維持管理に努めるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
(飼い主の責務)
第9条 飼い主は、ふん害を防止し、町民等の良好な生活環境が損なわれないように努めるとともに、町が実施する施策に協力しなければならない。
第2章 環境の保全、回復及び創造に関する基本的施策
(基本的施策)
第10条 町は、環境の保全、回復及び創造を図るための基本的施策として、次に揚げる施策を推進するものとする。
(1) 生活環境に関する施策
ア 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染等の公害防止に関すること。
イ ダイオキシン類等の新たな環境汚染物質の弊害防止に関すること。
ウ 町民生活に伴う騒音、臭気等生活型公害の対策に関すること。
エ 廃棄物の発生、排出抑制及び適正処理に関すること。
(2) 自然環境に関する施策
ア 良好な自然環境の適正な保全、回復及び創造に関すること。
イ 緑化の推進及び農地等の保護と育成に関すること。
ウ 動植物の生育環境並びに水循環等の環境保護、回復及び創造に関すること。
(3) 観光と景観に関する施策
ア 波浮港散策スポット等、伝統的町並み景観の整備と保全に関すること。
イ 三原山等、景勝地の整備と保護に関すること。
ウ 屋外広告物の規制に関すること。
第3章 協働の推進
(関係機関との連携)
第11条 町は、環境保護等の推進については広域的に対策を講ずることにより効果が期待できる事案については、国及び他の地方公共団体等と情報交換等を行い、連携を図って必要な措置を講じなければならない。
(協働の責務)
第12条 町、町民及び事業者は、相互に協力するために自発的な活動を行い、対等な立場で共通する環境保護等に関する施策の推進又は環境問題の解決に努めなければならない。
(環境に伴う学習の推進)
第13条 町は、町民及び事業者が循環型社会の形成及び環境保全等について理解を深められるよう、家庭、学校、地域及び職場における学習の推進を図らなければならない。
(自発的活動の支援)
第14条 町は、町民及び事業者又はこれらの者で構成する団体による自発的な環境保全に関する活動の促進に努めなければならない。
第4章 環境美化推進
(環境美化推進員)
第15条 町長は、地域における環境美化の推進を図るため、熱意と見識を有する者のうちから環境美化推進員(以下「推進員」という。)を委嘱することができる。
2 推進員は、町が行う施策への協力その他環境美化のための活動を行う。
第5章 雑則
(指導及び助言)
第16条 町長は、町民等、事業者及び土地所有者等に対し、この条例の目的を達成するために必要な指導及び助言を行うことができる。
(勧告及び命令)
第17条 町長は、第10条の規定に違反した者に対し、自動車等の放置やごみの投げ捨て若しくは散乱させたごみの撤去などの必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
2 町長は、空き地が不良状態にあるとき又は不良状態になる恐れがあるときは、当該空き地の所有者等に対し、雑草等の除去その他不良状態の改善に必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
3 町長は、第1項の規定による勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に従わないときは、相当の期間を定めて、その勧告に従うべきことを書面により命ずることができる。
(立入調査)
第18条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、町長の指定する職員に必要な場所に立ち入らせ、ごみの投げ捨てを防止するため又は空き地の適正管理を促すために必要な調査をさせることができる。
(環境破壊の公表)
第19条 町長は、この条例の趣旨に反して著しく自然を破壊している者があるときは、その事実を町民に公表するものとする。
(罰則)
第20条 第17条第3項の規定による命令に従わない者は、5万円以下の罰金に処する。
(委任)
第21条 この条例の施行について必要な事項は、別に町長が定める。
附則
この条例は、平成17年4月1日から施行する。