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町長所信表明
町長 所信表明
【はじめに】
令和8年度当初予算を上程するに当たり、私の所信を申し上げ、町民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げるものです。
私のまちづくりの基本コンセプトは、「きぼうのしま・にぎわうしま・やさしいしま」に基づき、安心・安全な暮らしのできる島づくり、関係人口が加わることで住民の産業や文化が発展し定住が進む島づくり、子育て支援や教育・福祉が充実している島づくりを推進し、町民の皆様との協働作業により豊かな島をつくることです。
さて、政府は、令和7年12月26日、令和8年度予算案を閣議決定しました。一般会計の総額は、前年度比6.2%増の122兆3,092億円と120兆を超え過去最高となりました。令和7年度補正予算での対応に続き、切れ目なく、日本列島を強く豊かにするための予算とし、財政規律にも配慮しつつ、「強い経済」の実現を目指すこととしました。
また、東京都は、令和8年度予算のポイントを「2050東京戦略」の迅速かつ確実な実行に向け、大都市東京の強みを遺憾なく発揮し、明るい未来を実現する予算としました。将来にわたり東京が世界の成長を牽引し続けられるよう、「人」が輝き、活力に溢れ、安全・安心な東京へとさらに進化させるための施策を、時代の変化を捉えた新たな視点で、スピード感を持って積極的に展開することとし、一般会計予算規模は、9兆6,530億円、前年度比4,950億円5.4%の増加となり、5年連続で過去最大を更新しました。
この中で、主要施策の一つである「多摩・島しょの振興」については、多様な個性やポテンシャルを有する多摩・島しょ地域の持続的発展に向けて、地域とも緊密に連携・協力しながら、魅力と活気にあふれる地域社会を作り上げることとしています。また、伊豆諸島海域での洋上風力発電導入推進事業では、2035年までにギガワット級ファームの導入を目指しており、当町としても地元理解醸成の取り組みなど、全面的に協力していきます。
【令和8年度当初予算の概要】
大島町においては、このような背景の下、令和8年度当初予算を編成しましたが、一般会計予算規模は97億6千万円、特別会計を合わせた全会計の予算規模は140億8,804万6千円となり、前年度当初予算額と比較しますと、一般会計は10億5,000万円12%の増加、全会計では12億8,557万1千円10%の増加となりました。
令和8年度当初予算編成にあたっては、次の4つを重点実施項目とし、地域の持続可能な発展と住民福祉の向上に取組んで参ります。
1)こども・子育て家庭関連事業の推進
こどもが健やかに成長し、誰もが安心してこどもを産み育てることができ、子育てを楽しく感じる事ができるよう、結婚・出産から青年期までのシームレスな支援の充実を図ります。
令和8年度より、保健師などの専門職を中心とした「こども家庭センター係」を新設し、妊娠から就学までの支援体制をより一層強化します。また、「さくら小学校大規模改修」、「第二中学校校庭照明LED化」、「第三中学校体育館空調設置」などのハード整備により、こども達が安心して利用できる施設環境を整えます。なお、令和6年度末をもって閉園した岡田保育園については、「旧岡田保育園施設活用事業」として施設整備を実施し、こども達の新たな居場所として活用する予定です。
2)移住・定住者受入、関係人口の創出・拡大に関する事業の推進
島ならではの魅力の再確認と情報発信、空き家の活用や新たな住環境整備により移住・定住者、及び関係人口・交流人口の増加を目指します。
空き家対策事業では、「空き家実態調査・意向調査」の実施により活用可能な空き家を発掘するとともに、「空き店舗活用・空き家改修補助金」の補助金額を引き上げることで、より一層の活用を図ります。また、令和7年度に進めていた町営住宅入居要件の緩和についても順調に進捗しており、近日中にも入居者の募集が可能となる見込みです。
3)地域住民と共に考えるまちづくりの推進
観光産業振興や公共施設の管理運営、住民福祉のさらなる向上など、行政だけでなく、住民・地域・企業・研究機関などが一体となって町を創る「共創の仕組み」を強化し、住民の皆様1人ひとりが主役となれるよう、立場や世代を超えた交流の機会をさらに充実させます。
令和8年度では、新たにまちづくりに関する住民会議の開催を目指し、これまで実施している「地域公共交通活性化協議会」等とも合わせて、住民のみなさまと一体となって今後のまちづくりについての検討をしていきたいと考えております。
4)噴火40周年関連事業
昭和61 年噴火による全島避難から40 年を迎える事から、防災関連事業や火山関連事業を実施し住民の防災意識の向上を図ります。
「防災行政無線デジタル化」、「消防無線施設更新」、「防災備蓄庫整備」、「差木地消防団詰所建設」などのハード整備や備蓄品の充実により災害の脅威に備えるとともに、「地域防災計画」についても現在の状況に合わせて改定します。また、今年度は東京都の補助金を活用した「ジュニア防災士レベルアップ事業」で東日本大震災の被災地視察を実施し、次代を担う子供たちの防災力向上につなげたいと考えております。
なお、島内においては、噴火災害の伝承と防災力の強化を目的としたイベント「ジオフェスティバル」を12月に開催する予定です。昨年7月にリニューアルオープンした「伊豆大島ミュージアム ジオノス」を活用したイベントですので、ぜひみなさまのご参加をお待ちしています。
【継続的取り組みについて】
さて、昨年、大島町では、伊豆大島火山博物館がリニューアルオープンし、「伊豆大島ミュージアム ジオノス」として新たなスタートを切りました。開館以来、来館者数は順調に増加しております。展示の内容も非常に充実しており、「予定していた見学時間では足りなかった」といったお客様の声もいただいております。一度限りの来場ではなく、何度でも訪れていただける拠点施設となるよう、企画展やイベントの考案、展示内容の随時更新など、引き続き取り組んでいきます。
令和7年度から新たな取り組みとして運用を開始した「大島町公式LINE」は現在の登録者数が約2,000人、防災無線のテキスト配信や各部署からのお知らせ、ごみ収集日の通知など、住民の皆様の生活に直結したサービスを提供しており、アンケート調査では80%以上の方から高い満足度を頂いております。令和8年度中には登録者数7,000人を目指し、住民の皆様はもちろん、観光客や関係人口の方々と大島町をつなぐ重要な情報発信の窓口として、さらなる機能の充実を図ってまいります。
デジタル技術を活用した行政サービスの向上に積極的に取り組みを進めております。庁内では、業務プロセスの見直しに向けた業務量調査を実施し、職員の業務実態を把握するとともに、専門的な技術を必要としないツールの導入やAIによる文字認識技術の活用により、書類処理などの業務負担の軽減に取り組んでおります。こうした効率化により生み出された時間を、住民の皆様に向き合うサービスの充実に充てられるよう努めてまいります。
令和6年度より東京都の「区市町村との連携による環境政策加速化事業」に採択され、国立大学法人電気通信大学と共に取り組んでいる「円筒型太陽電池を活用した島しょ地域におけるソーラーシェアリング実証事業」については、令和8年度が最終年度となります。この設備で栽培する明日葉の生育も大変すばらしく、取り組みに興味を持たれた農業者もあったとの報告を受けております。今後は設備導入のための仕組みについても検討し、先進技術の普及と地域特産品を活用した産業の活性化に繋がるよう進めてまいります。
昨年3月には「2025年東京国際ツバキ大会」のコングレスツアー、5月には外国籍クルーズ船の寄港、11月には日本で初となる「東京2025デフリンピック大会・オリエンテーリング競技」が開催され、秋篠宮皇嗣妃殿下、悠仁親王殿下がお成りになりました。また、本年2月には、外務省中南米対日理解促進交流プログラムの視察地に選定され、カリブ諸国の方々が来島されるなど、大島町の魅力を国際社会に改めて示すことが出来る年となりました。今後更なる魅力の発信に努め、インバウンド対応も進めてまいります。
令和8年度では、これまで実施してきた事業の効果をより一層伸ばしていくとともに、今後の大島の更なる発展と、持続可能なまちづくりに向けた取り組みにも力を入れてまいります。
【町の基盤強化のために】
昨年の所信表明でも述べた事ではありますが、少子高齢化と急速な人口減少、各種施設の老朽化や物価高騰による維持管理費の増大により、現在の人口で従来の施設を維持していくことは不可能な状態です。現在の施設状況や今後の人口推移など、町が保有する各種データを適切に分析・提示したうえで、最適なまちづくりのあり方を住民の皆様とともに検討できるよう準備してまいります。
また、当町の観光産業は、1970年代以降年々減少衰退傾向にあり、新型コロナウィルス感染症のまん延や観光ニーズの多様化等もあり、上昇気流に乗れません。当町にとって観光振興は、町の将来ビジョンを達成するための重要な施策の一つであり、観光が地域にもたらす経済的影響は非常に大きなものです。近年では、地方の持つ自然・文化・安心感に注目が集まり、地方に暮らすことの価値が見直される中で、私たちのまちにおいても従来の延長で対応するだけでは不十分なこともあり、新たな視点と果敢な取組みが求められていると痛感しています。
3月末の策定に向けて作業を進めている「大島町観光総合計画」では、「訪れる人が暮らしたくなる島、伊豆大島」を目指す姿として、地域資源の活用、多様化する観光ニーズへの対応、受け入れ環境の整備、魅力的な観光コンテンツの開発を官民一体となって進め、来島者誘致と満足度の向上を図っていきます。大島町が将来にわたって豊かでありつづけるため、町民の皆様との協働により、都心に最も近く豊かな自然を擁する大島町の魅力を活かした各施策に取組んでまいります。
この観光総合計画の策定ならびに上質な宿泊施設誘致を契機として、新しい観光振興のかたちをDMOの設立、地域おこし協力隊や地域活性化起業人の活用等も含めて検討し課題解決に向け推進してまいります。
【おわりに】
私のまちづくりの基本的コンセプトである「きぼうのしま・にぎわうしま・やさしいしま」を礎に、また、基本構想におけるまちの将来像「郷土大島を豊かにし、共につくる島」を目指し、町民の皆様との協働により都心に近く豊かな自然を擁する大島町の魅力を活かした、豊かな住みよいまちを実現していくため、引続き町民の皆様並びに議員各位のさらなるご指導ご協力をお願い申し上げまして、令和8年度の所信表明といたします。
令和8年3月3日
大島町長 坂 上 長 一

